作り手目線とユーザー目線を行ったり来たりする越境

はじめに

このエントリーは「DevLOVE Advent Calendar 2014「越境」」の85日目の記事です。
(心の声「85日目?1/31だぞ…アドベントカレンダーの枠をとうに超えているではないか…」)

 

改めまして、伊藤英明@itow_ponde)と申します。私個人としては2回目の登場になります。前エントリーの新井さんと同じく、「駅すぱあと」でお馴染みのヴァル研究所で働くHCDやUXな感じの人です。

「越境」がテーマということで1回目は「『越境』にまつわる自分史」というタイトルで半生を振り返ってみました。今回は、主に仕事をする上で考えている「越境」について書いてみたいと思います。

 

 

HCD(人間中心設計)は、開発者が作り手目線とユーザー目線を行ったり来たりするプロセス

私は社内でHCD(人間中心設計)に則った開発を推進する立場にあります。

HCDというのは、掻い摘んで言うと「リサーチ」「要求定義、仕様化」「プロトタイピング」「評価」のステップを必要に応じて反復しながら、ユーザーの要求に合った製品、サービスを設計するためのプロセスです。

これは大まかには「ユーザー調査に基づく仮説構築」と「ユーザー評価に基づく仮説検証」という2つのステップを繰り返すサイクルでもあると考えています。

 

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このようなサイクルで開発を進める理由として、以下のようなことが開発中の決断を妨げたり、できあがったものがユーザーのニーズに合っていないことになってしまうのを避けたいということがあります。

・作り手目線からユーザーの実態が見えないことで、思い込みでものを作ってしまう

・ユーザー目線から見た時に、求められていることを作り手に伝える機会や手段が無かったり、ユーザー自身が思いを外化できない

 

これは、「ユーザーの情報を作り手に届ける」ことで解決できるように思えますが、単にユーザーの言うとおりにもの作ればいいというものではありませんし、開発中にユーザーからの評価を受けるにしても、作り手の至らないところにダメ出しをするだけでは場当たり的な解決にしかなりません。

このように、「人間中心」「ユーザー中心」という言葉に捕らわれてしまうことで「ユーザー→作り手」という1方向にしか情報が流れないことになってしまっては、HCDの目的の半分しか果たせていないことになります。

 

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ユーザーの情報に基づいて、その問題を解決したり、何か価値を提供したりする方法を考えるのは作り手の仕事です。これが「ユーザー調査に基づく仮説構築」に相当します。

その方法が合っているかどうかを確認したり、より良い方法がないかを検討するためにはユーザーに対して問う「ユーザー評価に基づく仮説検証」の方法をとるのが確実です。

 

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このように「ユーザーのやりたいことを作り手に伝え、そこから仮説を構築する」と、「作り手のやりたいことを仮説としてユーザーに伝え、仮説が正しいかを検証する」を繰り返しながら開発を進めることがHCD本来の目的であると考えています。 

私の立場としては、この両者の視点を「越境」しながらそのギャップを埋める、間に立って繋げるということが必要なのかなと思っています。 

バトンタッチ

次回はちゃちゃきさんです。数々のコミュニティを掛け持ちする彼の口から語られる「越境」とはっ!?(大げさ)