越境を意識していたら境目がなくなっていた話

はじめに

このエントリーは「DevLOVE Advent Calendar 2014「越境」」の94日目の記事です。
もはや、94日て…とか、アドベントカレンダーの定義とは?とかツッコむ気力も無いw 100日まで駆け抜けろ!

前日までで1週間連続投稿を成し遂げたkimKimmyさんよりバトンを受け取りました。どうしてそんなにネタが続くのか…素晴らしいですね。

 

改めまして、伊藤英明@itow_ponde)と申します。私個人としては3回目の登場になります。「駅すぱあと」でお馴染みのヴァル研究所でHCD(人間中心設計)に則った開発を推進しています。

「越境」がテーマということで1回目は「『越境』にまつわる自分史」というタイトルで半生を振り返り、2回目は「作り手目線とユーザー目線を行ったり来たりする越境」というタイトルで仕事をする上で考えている「越境」について書きました。

3回目となる今回は、越境をしているうちに自分がどうなっていたのかについて書いてみたいと思います。 

越境のために、観察力や分析力を磨く

2回目のエントリー「作り手目線とユーザー目線を行ったり来たりする越境」と関連しますが、物事を作り手、ユーザーそれぞれの立場から見られる客観性を持つためには、多角的な目線での観察力や分析力を磨く必要があります。

そのための日常的なトレーニングになっているのが「#今日のUX」という活動です。日常の中で見つけた良い/良くないUXについて取り上げているもので、UXは特別なものではなく身近にたくさんあるんだということをゆるく展開するために始めてみたものです。

 

日常から気づきを得るための観察力、何が良い/良くないのかをまとめる分析力を養うトレーニングになりますし、140文字以内という制約のあるTwitterを使うことで、要点をまとめる「要約力」のトレーニングにもなっているような気がします。

2年半ほど前から続けている活動ですが、振り返ってみると時期によって投稿される内容の傾向が変わってきているのが見えて面白いですね。
初期の頃は当時バズワードにもなっていた「UIとUXの違い」とか、UX白書の日本語訳が公開されたことで話題になっていた「UXの期間」に関する内容が多かったですが、最近は「ユーザー体験を上手くデザインしているもの」に関する内容が多くなってきているように思います。

この活動を通して感じたことは、「"良くない"のは見えやすくて、"良い"のは見えにくい」ということです。
ユーザビリティへの配慮が足りない、UIがイケてなくて使いにくい、わかりにくいものは気づかれやすく見えやすいものですが、ユーザビリティが究極的に優れたものがあるとしたら、何の迷いもなく使えてしまうのでそれが良いということにすら気づかないかもしれませんし、それのどこがどうして良いのかを説明しても意外と普通に感じてしまうのかもしれません。

だからこそ、意識的に所謂"良いUX"に注目したいと思っていますし、良いと思った時にそれがどうしてなのか理解できれば、自分のデザインの引き出しに入るのではないかという期待を持って取り組んでいます。

 

意識し続けることで日常化し、透明になる越境

日常的に気づきを得たり、それを分析できるようになるために必要なのは、「よし、観察や分析をしよう」と思った時にできる力だけではないように思います。
自分の場合も、最初は意識しながら日常生活を送ることがスタートでしたが、最終的には呼吸をするのと同じような無意識のレベルで自然にできるようになっていたと感じています。

この状況を表す言葉として私のイメージに近いのは「公私同根」というSoup Stock Tokyoなどを展開する株式会社スマイルズ社長の遠山正道さんの造語です。
仕事とプライベートが一緒になるくらいに仕事を楽しむし、プライベートで興味があることが仕事になるように持っていく、ということを説明しようとした時に思いついた言葉だそうです。

何かをするときに、それを仕事だと思ってやる、義務感を持ってやるのもいいですが、企業内で自分の立ち位置が変わったり、それが義務でなくなったらやめてしまうもの、やめられるものに対して本気になれるのか、どこかで無意識な遠慮やブレーキが発生するのではないかと思うことがあります。

なので、モノやサービスと、その作り手とユーザーに対する興味、好奇心をもってできることが一番自然で楽だと思っています。そういった形で、モチベーションの源泉を自分の内側に持つことができるようになった時に、いつの間にか意識しなくとも越境できるようになっていたのではないかと、後から振り返って思いました。

 

バトンタッチ

次はうえぴーさんです。

100日目まであと6回!よろしくお願いします!